その他
0.001%の可能性
2017/12/20
税理士 松本 鉄平
今回の旬ネタは、自戒を込めて、諦めない姿勢についてお話ししたいと思います。
数年前、元Jリーグチェアマン川淵三郎氏の講演を聞く機会がありました。色々なメディアで拝見する通りの、情熱的で、ユーモアに溢れる方でした。本稿では、その一部をご紹介したいと思います。事業を行っている方にとっての一助となれば幸いです。
話はJリーグ発足前に遡ります。 現在は強豪クラブに名を連ねる住友金属(現鹿島アントラーズ)も、当初はJリーグへの加盟が認められていない厳しい状況下にありました。住友金属を押しのけて、フジタ(現湘南ベルマーレ)が加盟する情勢だったようです。 そんなある日のこと、川淵チェアマンのもとに、住友金属首脳陣が陳情に訪れました。 フジタ有利の情勢ですので、住友金属の加盟を断念してもらおうとしたチェアマンは、「99.999%無理です」と、住友金属首脳陣へ伝えました。ところが、住友金属首脳陣は、その言葉を逆に「0.001%の可能性があるということですね」と前向きに捉えました。さらに住友金属首脳陣は「どうすれば、その0.001%を埋めることができますか」と畳み掛け、川淵チェアマンから次の言葉を引き出しました。
「15,000人を収容するサッカー専用スタジアムがあれば」
鹿島は人口45,000人の田舎町です。そこに、当時、日本全国のどこを探しても存在しなかったサッカー専用スタジアムの建設を条件としたのです。川淵チェアマンにすれば、無理難題を吹っかけたつもりでした。 ところが、住友金属首脳陣は、川淵チェアマンの放った方便である「0.0001%」を信じ、行政も巻き込み、何とかスタジアム建設の目途を立てました。これに困ったのは、川淵チェアマンでした。しかしながら、@日本初のサッカー専用スタジアム建設という意義において、A下部組織などの問題を積極的にクリアしたという意義において、Jリーグから評価された住友金属は、最後の最後にフジタを抑え、Jリーグ発足からの加盟を成し遂げたそうです。
日本最先端のサッカー専用スタジアム。 ジーコが熱心に行ったチーム作り。 熱狂的なサポーター組織の誕生。発足初年度1stステージでの優勝から始まる、その後のサクセスストーリーは必然だったのかもしれません。
「100%無理」では無く、「99.999%無理」と言われたこと。
その言葉を「何らかの問題を解決すれば、まだ成就する可能性があるのだ」と解釈した住友金属首脳陣の姿勢と切り返し方を人生の糧としていきたいと思います。